フロンティアストーリーズ レビュー

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みんなを守るRPG

機種 ゲームボーイアドバンス
ジャンル アクションRPG
発売元 ネバーランドカンパニー
発売日 2005年10月27日
評点   (7点)

GBAというハード特性も手伝って、恐らく微妙な知名度と思われるこの作品。
どうにかして本作の存在にたどり着いた人は、最初は「お、なんだかいい感じじゃね?」「隠れた名作発見か?」などとあらぬ期待を膨らませ、実際にプレイしてみて愕然とするのが常道と思われるGBAの問題作、「フロンティアストーリーズ」の紹介です。

主人公のアークは「CIMA」という生物から人々を守る「ゲートガーディアン」の新米さん。大先輩のジェスター、相棒のアイヴィと共に、先行開拓民14名の護衛として列車で開拓地に向かう途中、案の定出現したCIMAによって、列車ごとCIMAの生成した異世界「ゲート」へと連れ去られるプロローグで物語は幕を開けます。

このCIMAという敵存在がかなり謎めいていまして、このように突然人々をゲートに陥れては出口を探させて、そのときの「希望」を搾取するという怪しい性質を持ち、そのため生成されたダンジョンには必ず出口があるという、いかにもRPG向きの生物となっています。
やがて強力なCIMAの登場によって大先輩は殺されてしまい、14名の開拓民たちもゲートの中で散り散りに。そんなわけで開拓民14名を救出して守りつつ、ゲートから脱出するためダンジョン攻略を繰り返すという寸法の物語。

主題が「みんなを守る」なので、当然キモとなるのがこの総勢14名開拓民の扱い方。そうです14名。実際に扱ってみるとわかりますが、結構な人数です。大先輩が没する前に簡単なチュートリアルがあって、14名を4つのグループに分け、LRを駆使したややこしい指示も織り交ぜながらこの大所帯を操作するのですが、はっきり言って「マジでこんな感じでやってくの?」「中盤あたりからこれにややこしい仕掛けが加わるんでしょ?」とこちらを不安に陥らせ、開拓民たちには「お前らせめて同時に動いてくれ」と願わずにはいられません。半端な覚悟ではまずここで心が折れます。

加えて、各ダンジョンのボスがこの時期の作品にしては珍しいくらい強力というのも特徴です。
その強さは初見ではほぼ勝てず、何回か挑戦してパターンを掴んだあたりでようやくまともな勝負になるといったもの。もちろんボスなのですから弱いよりは強いほうがいいのですが、本作の場合はボスにたどり着く前に普通より神経を使っているので、なのにボスまでこんなかよと呪いたくなります。

これだけでも十分苦しいというのに、実は相棒のアイヴィこそが最大の障壁というさらなる苦難が潜みます。
アイヴィは基本的にアークの少し後ろを付いて回り、気まぐれに攻撃するというまったくもって役に立たないキャラなのですが、それだけならまだしも、例えば曲がり角にひっかかる、例えば移動床に乗り遅れる、そして孤立したところを敵にボコられてキャーキャー言いながら気付けばGAME OVERという恐怖のコンボを持ち合わせていて、これでもかとプレイヤーの心をへし折ろうとしてきます。冒頭の会話でアークに「まぁオマケみたいなもんだけど、いないよりマシかな」と言われますが、このへんの動きに関しては間違いなくいないほうがマシです。

守りながら戦うこと自体が辛い、その上やっとたどり着いたボスがかなり強い、さらには相棒に足を引っ張られる。
これら三重苦が合わさった難易度はもはや筆舌に尽くしがたく、この辺りが世間一般で残念な評価を受けてしまう所以となっているのでしょう。

必ずみんなを守ってみせる!

だからとて、簡単にクソゲーとして片付けてはいけない魅力がこの作品にはあります。
それは何といっても開拓民14名の面々。公式サイトを見てもらえばわかるようにように、グラフィックは申し分なく、そして一人一人がちゃんとした設定背景を持っていて性格も様々で、アークに協力的な人もいれば当然否定的な人もいて、このCIMAの世界に囚われたという極限の状況下で様々な人間ドラマを見せてくれるのです。
ほんと、はっきり言ってこの人間ドラマの結末が見たいがために上記の苦行を耐え抜いたと言っても過言ではありません。この守るべき人たちが「本当に守りたくなる存在」ということが、本作がクソゲーと堕ちずに踏みとどまった最大の勝因だと思います。

また彼らはただ守られるだけではなく、それぞれ固有のスキルを持っていたり、幾人かはプレイヤーが動かす展開もあったりと、アークが皆を守るというよりは、皆で力を合わせて脱出するというほうが正しくもあります。アイテムを発見したり武器を強化したり、リーダー的存在であるヴァンローズに至ってはアークより強かったりもします。

そして全員が揃った最終局面、結構な衝撃展開と共に迎えるラストバトルとエンディングは、これまでの道中が本当に辛かったこともあって、正直かなり感動します。ストーリーや演出もさることながら、プレイヤー自身にも並々ならぬ達成感がありました。こんな気持ちになれる作品というのも久しぶりだと思うのです。

知名度もまちまちで、出会えたとしてもこの難易度で、果たしてエンディングまでたどり着けた人がどれだけいるのやらといったところではありますが、易々と見限るにはあまりにも惜しい、名作の部類とはいかないまでも、今までにないものを作ろうとした気概の伝わる意欲作ではないかと思います。

未回収の複線がかなり目立つので、恐らくはシリーズ展開を視野に入れていたのでしょう。アイヴィの動きやボスの難易度は改善できるとしても、そもそもの主題が「みんなを守る」というマゾいものなので万人受けとはいかないでしょうが、何らかのかたちで日の目を見てほしい作品です。

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