三國志英傑伝 レビュー

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良質高難易度シミュレーションRPG

機種 PC98
ジャンル シミュレーションRPG
発売元 光栄
発売日 1995年2月10日
評点   (9点)

英傑伝シリーズの初代作。当時ありそうでなかった…かどうかはわかりませんが、自分の中では「ついにきたか!」という感のあった三国志の本格シミュレーションRPGです。

この作品との出会いは、この頃のパソコン売り場でよく流れていた店頭のデモ映像にて。最初のステージである汜水関の戦いで、たどたどしく進軍する劉備軍。やがて敵将の華雄に関羽が攻撃を仕掛けると、その後に一騎打ちが始まり、まだまだ体力が十分があったはずの華雄を、演義の通り一撃で打ち取ってしまったのです。
当時横山三国志全60巻を熟読していた自分は、この演出で「三国志に詳しい人ほど有利に進められるゲームに違いない!」と思い、購入を決めたのでした。

基本的には劉備を主人公として、演義の通りにたどっていくシミュレーションRPG。システム的にはこのジャンルの基本に忠実なものですが、一番の特徴となるのは先に述べた「一騎打ち」システムでしょう。
演義と同じように、またはそうでない場合でも、名のある敵将にこちらの特定の武将が隣接すると一騎打ち(又は説得)が発生し、普通に戦ったら苦戦必至の強敵を一撃で撃破できるばかりか、その将を仲間に引き入れたりアイテムを入手したりするうえ、さらにこちらの武将は必ずレベルが上がるという恩恵まであるのです。自分がデモで感じた通り、三国志の知識によってかなり難易度が変わる作品と言っていいでしょう。

が、問題はそもそもの難易度です。
本作は、いくら関羽・張飛のような一騎当千の猛将といえど、兵力差の前にはなすすべなしという現実的なバランスを有していて、そもそもが「反撃なし」という超絶先行有利の仕様のため、例えレベルの抜きん出ている関羽がいたとしても、敵陣に放り込めば軽く1ターンで撃破されてしまいます。
個人の武力はあくまで追加要素。力押しや人海戦術など通用するはずもなく、1マス単位の熟考を求める難易度は手に汗握り、常に緊張感を伴います。序盤こそ有利に進められた一騎打ちは、気が付けば「知っているほど有利」から「知らないと話にならない」というものに変貌しておりました。

中でも中盤に待ち受ける「長坂坡の戦い」はそんな本作でも最高難易度と言える一戦で、まともにぶつかったら到底勝ち目のない曹操軍から、逃げる民衆が特定の場所に到達するまで守りつつ耐えなければならないという超マゾ仕様のステージです。しかも前編・後編の連戦であり、前編で倒れた味方は後編は不参加なのに敵将は普通に復活するという鬼畜っぷり。さらに後編では終盤に山を越えて向かってくる夏侯恩に趙雲をぶつけて一騎打ちを発生させ「青紅の剣」を入手するというミッションまであるのです(これは必須ではありませんが)。
自分の初回プレイではままならず、やむなく最初からやり直す屈辱を味合わされた印象深いステージでした。

蜀ファンに捧ぐ後半のシナリオ

また中盤を越えると、演義とは違った道筋をたどれるようにもなってきます。例えば「?の戦い」では?統を生存させたり、「麦の戦い」では関羽を逃がせたりといったことが可能です。もちろん難易度もそれ相応に厳しいのですが、条件を揃えるとゆくゆくは呉と再同盟を結び、魏との最終決戦という架空のシナリオに進むことになります。

上手に進めれば?統が生存、関羽も張飛も生存、さらにルートによっては徐庶も戻ってきたりして、「劉備元徳の旗の下、孔明・?統・徐庶の指揮で関羽・張飛・趙雲・馬超・黄忠の部隊が暴れまわる」という、蜀ファンにとってはもう感涙ものの展開を楽しむことができるのです。
こういうオリジナルの展開を好まない人もいるでしょうし、自分もどちらかと言えばそうなのですが、本作においてはこの手強い難易度の中で神経をすり減らしているだけに、この圧巻の布陣には込み上げるものがありました。

本作の評価はやはり高かったようで、このあとSFC・SS・PS・GBAと多くのハードへ移植されています。自分はそのいずれもプレイしたことはないのですが、どうも難易度が下方修正されてしまったようで個人的には残念…。今や環境を揃えるのが困難とはいえ、シミュレーションRPGに自信がある人は是非このPC98版で「長坂坡の戦い」と「麦の戦い」、そして「夷陵の戦い」を楽しんでほしいと思います。

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