バウンティ・ソード レビュー

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31歳、未婚、その日暮らし

機種 スーパーファミコン
ジャンル シミュレーションRPG
発売元 パイオニアLDC
発売日 1995年9月8日
評点   (8点)

RPGの主人公といえば、10代の半ばから後半くらいの少年というのが王道です。多少年齢が行っていたとしてもせいぜい20代前半くらいのもので、そんな個として成熟しきっていない主人公の成長の過程を感じるというのもRPGの醍醐味のひとつでしょう。

そんな中、本作の主人公は31歳の無精髭を生やしたおっさんという、しかもやたらと重い過去を背負っているせいで実年齢よりも老けて見えるという、他作品とは一線を画した設定となっております。そこに描かれるは成長の過程なんぞではなく、挫折・絶望からの「魂の再生」。数多いSFCのRPGの中でも極めて異質で渋い光を放つ存在、それが本作「バウンティ・ソード」です。

世界観は銃などの機械もあるけれど、剣や魔法が主流といったちょっと不思議な設定で、サムライやニンジャも登場する和洋折衷型。そのくせパッケージに描かれた主人公のソードはどこか現代の「アウトドア派の二児の父」のような格好をしているため、余計に世界観が伝わりにくい仕様となっております。あのゴーグルとか何に使うのでしょう。

しかしその主人公のソード、これでも昔は「不敗の聖騎士」や「マスター・オブ・ソード」と謳われた伝説の男なのです。なのにとある出来事から「味方殺し」の汚名を着せられて除隊され、今ではバウンティ・ハンターという、要するにしがない賞金稼ぎへと落ちぶれて、やさぐれながらその日暮らしをしているという毎日。それがとある依頼から自分の半分以下の年齢の少女との出会い、やがて再び大戦に身を投じていくことに…。

そんな主人公なので、台詞がどれもひねくれているというか厭世的なのですが、これがまたいちいちカッコいいのですよ。壮絶な過去を背負っているからこそ含蓄のある一言一言は、一流の男が発することで初めて価値のある名文句。それが各ステージの幕間にモノローグとして、セピア色の背景で語られるという演出が本当にカッコいい。

例えば、最初のステージである盗賊討伐に赴く際はこんな感じ。

イーストエンドの野…
連邦の侵略により 王国は荒れ果て
都にほど近い この地にも
多くの盗賊どもが 出没しはじめた
まったく ケチな盗賊どもだが
今のオレには
にあいの相手かも しれない
しかしオレは こうして
くらしてきた 昨日も 今日も
そして たぶん 明日も…

カ、カッコいい…。
かつて、こんな後ろ向きで始まる作品があったでしょうか? 普通は「今のオレ」になる以前の栄光の時代を描くもの。

さらに依頼をこなす過程では、さすがかつては生ける伝説とまでなった人物。未だ色褪せぬソードの名声を知る者が、その先々で度々にその名を口にします。

「そ、そうか、キサマがあの、バウンティハンターの、ソ…ソードだな…!?」
「うっ! その剣のかまえ…!ま、まさかキサマ!キサマは!あの、マスター・オブ・ソードか!?」
「速い! 動きが速すぎてどうやったのか見えなかった!?」
「あれがソード…かつてマスター・オブ・ソードと呼ばれた騎士の実力なのかよ!?」
「キ、キサマは、前大戦でその勇名をはせた伝説の聖騎士! マスター・オブ・ソード!」

その正体に恐れおののく者もいれば、純粋な強さへの興味からかつての伝説を破らんと、はたまた過去からの確執など、様々な強者がソードに襲い掛かってくるのです。それらを「その名はもう捨てた」と一蹴し、あくまで涼しい顔で返り討ちにする主人公・ソード。カッコよすぎます。
また、上記のような敵がその正体におののく場面や、時折発生する一騎打ちの場面では、ソードのテーマとも言える「戦場の風」というBGMに切り替わります。これが上記のような構図と相まって、それはもう鳥肌級の名曲なのです。熱すぎる…。

知名度だけが敵

今頃の解説になりますが、システムは「リアルタイムシミュレーション」という一風変わった方式を採っていて、これは言うなれば敵味方の全員が同時に動くファイアーエムブレムのようなもの。プレイヤーは各キャラに指示を下して戦局を見守ることになるのですが、これが慣れるまでは結構難しく、また命令後の動きも正直頭が良いとは言えないので、度々画面を止めては全体を見渡すことになります。
ほんと、このCPUの動きが少々残念な出来でして、例えばちょっと曲がり角の先にいる敵を目標に設定したはずなのに、気が付いたら明後日の方向へと壮大な遠回りで向かっていたりするのです。もうお前は良牙かと。

とはいえこの作品、存在自体はかなりマイナーで、経験者を見つけること自体至難の業だとは思いますが、ネット上のレビュー等を見聞きする限り、悪い評判というのがほとんど聞こえてきません。
個人的にも作品全体に一貫して漂う、少し大人向けで硬派な雰囲気が大好きです。こういう作品こそ広く知れ渡ってほしいですね。PSで一度リメイクされているので、リメイクはもうないかなぁ。

ちなみに関連リンクの「SOCCER-BOY.COM」は、キャラクターデザインを担当された大武ユキさんの公式サイト。
「WORKS」の中をたどっていけば、PS版のキャラクターデザインを見ることができます。ロジャー肩幅広っ!アテナごつっ!ロブンのNASA服もびっくりです。こういうのが残っているのは嬉しいですよね。

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